2019年11 、12月フットボール日記


このブログの投稿間隔が空いてきたが、まあ、ゆっくり書き続けていこう。さて、この秋から年末までのフットボール界の動きは目まぐるしかった。ぼくの気になったことをおさらしておく。
まず、フィンランドのユーロ2020出場決定!これには驚いた。これこそ歴史的快挙だ。一度だけフィンランド代表チームの試合を観戦したことがある。ポルトガルとの親善マッチ。そこにはリトマネンもヒーピアもいた。何と、息子はヒーピアからサインをゲットした。その黄金時代でさえユーロにも(出場チーム数が少なかったこともある)、ましてやW杯にも出場してない。フィンランド・リーグのトップクラブ、ヘルシンギン・ヤルカパッロクビル(HJK)もヨーロッパ主要リーグに出場していない。フットボールの弱小国と見なされてきたはずだ。そんな国の代表がユーロに。わりと好きな国なので嬉しくなったし、ロシアと同グループに入ったので実際に試合を見れるかもしれない。来年、老体に鞭打ってユーロ観戦を予定しているのだ。チケットもサントペテルスブルクでの試合を1枚だけゲットしている。熱狂するフィンランド・ファンは前回のアイスランドのようにすごい応援パフォーマンスになるかもしれない。ユーロ観戦の準備は苦労するが、楽しみが増えた。そうそう、HJKには少し前、田中亜土夢が所属していたことも思い出した。そうしたら彼の水墨画展覧会の記事がネットに載っていた。これは珍しい。スポーツと美術は水と油のような関係だと思っていたからだ。この点に関しては、次回のブログに書いてみようと思っている。
そしてプレミアの監督交代劇。やっぱりのモリーニョとエメリ。金融資本主義に侵されたビッグ・チームの監督は大変だと想像する。フットボールについて熟考するだけでなく、経営者との神経戦。それにしても、モリーニョの顔つきが少し変化したと感じた。モリーニョは好きではないが、レアルやインテル、マンUを率いてた頃の、(ぼくたちがメディアで見た)彼の横柄で自信満々の感じが和らいだようにも感じだ。前回、モリーニョに悪態をついたが、やっとポルト時代の初心を思い出したか、もう少し見ていこう。エリクセンが移籍してからが腕の見せ所だろう(エリクセンはいないに等しいが)。エメリは仕方ない。後任がアルテタ。なんと言ったらいいか。リュングベリな感じかもしれないとちょっと不安だ。エヴァートンも気になる。アンチェロッティ?この数年の名監督を見ていると、「終わった」感がある。新しい監督を育てるのもプレミアの役割ではないのか。
そして、南野のリバプール入り。日本メディアの大騒ぎは久保から南野に移ってしまった。ネットのスポーツナビに溢れる記事は、レギラーを取れるかどうかだけ。BBCスポーツでは、南野の幼少時代の熊取のクラブ時代の、物言いのはっきりした少年だったことから現在の日本代表までの軌跡がそれなりの量でレポートされていた(12月19日付け)。ウィキの英語版からの借用も多い感じだが、そこにはないことも書かれている。選手の追いかけ方と視線が日本とはちょっと違うのだ。ラグビーのW杯での記事も深みがあった。メディア報道の、スポーツへの視線が、芸能愛国社会の日本のスポーツメディアとは違うのだ。南野がどうなるか、これもチェックしていかなくては。格好いいし。
ともかく欧州フットボールでは慌ただしい季節に入ってきた。プレミアは超過密日程、チャンピオンシップ も似たようなもの。リーズのエネルギー最後まで持つのか?ちょっと心配するが、「今年は選手たちが成熟している」とビエルサは言っていた。期待しよう。
こうして時事の出来事を追いかけていると、フットボールについてじっくり考える時間もなく哲学的になれない(思弁的という意味です)。振り回されている感じもする。
 ニュースだけではなく、DAZN開始以来、試合放映の量が爆発的に増えた。チェックするだけで時間がかかる。退職者なのでなんとかしのげているが、それでも他のことをする時間も必要なのだ。読書量が少し減たような。フランス・アマゾンで取り寄せた『マルセロ・ビエルサー謎のエル・ロコ』(MARCELO BIELSA--EL LOCO ENIGMATICA, Hugo&Cie, 2018)も半分くらいしか読めてない。フランスのフットボールジャーナリスト、トマ・グバン(Thomas Goubin)がニューウェルス時代からリール時代までのビエルサを、彼を直接知る選手、監督、ディレクターへの膨大なインタビューをベースにビエルサ像を書き出した、日本で言えば人間ドキュメントである。メディアからの取材を受けないビエルサを描き出すには、こうした方法しかないだろう。日本で2012年に翻訳されたジョン・リバスの『ビエルサの狂気』(ベースボール・マガジン社)に比べればずっと充実している(こっちはビルバオ時代に焦点を当てている)。といっても原著を知らないので、こちらは抄訳かもしれないが。グバンの本を読んでいると、ビエルサのフットボール哲学のおよそを知ることができる。一言で言い表せない、フットボールそのものへの情熱。フットボールとは何かを考えさせる一冊だ。今期リーズがプレミアに昇格したら、エル・ロコの情熱はさらなる歴史を展開することになるだろう。リーズに残るかどうかはわからないが。ともかく次のステップが楽しみでしょうがない。
この秋はJ2をよくチェックした。もちろん京都サンガ。一時はJ1昇格を期待させたが、結局の順位。松井、パクチソンの時代を思い出したが、まだまだ。経営者と監督の問題だと感じた。それから、「ニッポン・チャチャチャ」な感じで、ただただ応援するサポーターの問題もある。サポーターには批判精神が重要だと思っている。サポーターが批判しなければ誰がチームにエネルギをー与えることができるのだろう。チームを愛しているから応援するわけだが、盲目的ではいけないはずだ。批判を封じ込める独特の風土を持つ日本で批判が難しいのはわかっている。でも・・・と言いたい。ぼくも日本サッカーにヨーロッパ・フットボールほど興味を持てなかったが、来年度から京都サンガをフォローしようと思っている。地元のチームを贔屓とするのが一番なのはわかっている。でもこれまでの陸上競技場ではちょっと見る気はしなかった。京都サンガは来年度からサッカー専用のスタジアムを持つ。これが一番重要だ。専用スタジアムという空間があってこそ、フットボールはフットボールになる。誰もがわかっていることだろう。そして、優れた監督を呼んできてほしい。情熱と理性がある監督を。

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