ラグビーW杯、そしてアーセナル、スパーズ、特にリーズ


 フットボールが1番だが、ラグビーも好きだ。テレビでだが、結構見てきた。そのラグビーのW杯が終わった。楽しい1ヶ月と2週間だった。そのせいでフットボールのことを書く余裕がなかった(試合はみていたが)。ラグビーについても、素人として書きたいことは数多くある。いつもと同じような感想になってしまうが、大会を総括するまともなメディアをまだ見ていない。日本代表を登場させ、同じようなことを言わせるワイドショウ的番組や記事ばかり。いつものことながら、ガッカリする。なので、BBCスポーツの記事をよく読んでいた(時間がかかったが)。日本を賞賛する記事も少なくなかった。ただ、ヨーロッパの日本礼讃には、少しだけ注意する方がいい。マルコ・ポーロの「黄金伝説」以来の「日本幻想」があるのだろう。ただし、これはぼくの経験上の感想。アジアで成長した近代国家日本を讃えることで、ヨーロッパ近代がアジアを意識し、世界の中心にいるんだという意識は現在もしぶとく続いているのではないか。それを間に受けて、イギリスなどの新聞記事を短く切り取り、海外のメディアの日本礼讃だけを大きく扱う日本メディアの記事は、選手をワイドショウ的に扱うのと大した差がない。日本サッカー選手の取り上げ方と同じだ。
日本ラグビー、選手の多様性を持つ日本ラグビーがティア1に近づいたことは間違いない。ここに住むものとしてもちろん嬉しい。ただし、「近づいた」だけだ。こんなことはラグビー協会も選手もわかっているだろう。南半球のラガーマンを日本の実業団チームに入れるだけでなく、サッカーのように、多くのラガーマンが世界の強豪チームに入団するようになってほしい。さらに妄想を膨らますと、理想でもあるけど、姫野和樹選手が、イングランド のプレミアシップのチーム入る、あるいはぼくの好みだと、フランスのトップ14のスタッド・フランセに入団し、なおかつフランス代表としてW杯に出場してくれたら最高だ。いつも書くことだが、世界は人が動いている。日本のスポーツ選手・関係者も動いてほしい。そうした動きをしている日本人も少なくないだろう。日本のサッカー選手が世界中にいることは前に書いた。ラグビー選手もそうなってほしい。こうして新しい日本と世界が作られてくると考えるからだ。
ついラグビーの話から書き始めてしまったが、フットボールもやっと本当の季節がやってきた。これから試合はますます面白くなっていくだろう。来年のユーロ2020の予選も最終段階(本戦のチケットを1枚だけ買えた)。CLは予選リーグの終盤。現在、ぼくの関心はそのことではなく、スパーズとリーズのこれからである。本来はガナーズのファンだったが、ヴェンゲルの最後の数年とエメリが来てからはしらけている。エメリに関しては、PSG時代の選手マネージメントの拙さにがっかりしたからだ。ネイマールの失敗の一因にエメリの選手マネージングがあると思っている。それはアーセナルに来てからも変わっていないというのがぼくの見立てだったし、現実になってきた。戦略家と言われるが選手の扱いが何か他人任せ。監督力というのは戦略マニアだけでは務まらないのではいか。選手と経営者の間で妥協することはあるとしても、毅然としたフットボールへの姿勢を貫く、そんな監督がアーセナルに現れないものか。
アーセナルにもまして、スパーズが不安だ。マルセロ・ビエルサの教え子ポチェティーノは大変だ。おそらくエリクセン問題が響いているのではないかと想像する。昨年までスパーズは彼をベースにしたチームだった。その中心プレーヤーが移籍問題でやる気をなくせばチーム全体に影響するのは当然だ。選手みんなが感じていることだろうと思う。ここから正念場、ポチェチーノの力量と経営陣のヴィジョンが問題になるだろう。立派なスタジアムを建てたのだからもっと野心を持ってもらいたい。もしポチェチーノが去るようだったら、ソン・フンミンもケインも移籍してほしい。ましてモーリーニョ監督なんかになったら尚更だ。ソンやケーンならどこでも活躍できるだろうから。
今年のイングランド ・フットボールで、ぼくが一番気にしているのは、そしてチェックしているのはチャンピオンシップ (日本でのJ2)のリーズ・ユナイテッドである、最初のブログでマルセロ・ビエルサのことを書いたが、そのビエルサが監督だから追いかけているのだ。フットボールの求道者の行方を。毎朝、日本のスポーツナビをサッと見て(本当につまらなくなってきた。日本海外選手のヨイショ記事ばかり)、次はBBC SPORT、それからリーズに本拠地を置くYorkshire Evening Postとリーズの公式サイト。チェックするだけで昼になってしまう。Postのおかげでリーズという都市にも愛着が湧いてきた(わが町ニュースも見てしまうから)。ともかくぼくはビエルサの信奉者なのだ。2年目に入ったビエルサのリーズがどうなるのか見届けたい。2部でも沈んでいたリーズを1年でプレーオフまで引き上げたビエルサの力量は大したものだし、彼が2年目を続投したのはちょっと驚いたが、あのアルゼンチンのニューウェルス・オールドボーイズに漂う(おそらく)イングリッシュな伝統に関わっているのではないか。思い入れがあるのだろうか。
そのニューウェルス・オールドボーイズに中学を出て飛び込み下部リーグでプレーしている鷲野君という選手(現在怪我で帰国中)のインタビューがネットに出ていた(http://keikun028.hatenadiary.jp/entry/haruki_wasino)。ニューウェルスというのがまたいい(日本でもサッカー教室を開いているらしい)。欧州の有名ビッグ・クラブ下部組織でもいいが、レアルやバルサより自分を発見するためには、こうしたグラブの方がいいのではないか。ともかく、日本の湿った空気に気づくことが重要だ。サッカー選手を目指す人は、その点恵まれている。人間としての「個」を確立するためには、良い時代ではあるのだ。鷲野君には頑張ってほしい。
さて今期のリーズ・ユナイテッドは昇格できるのだろうか?現在3位。去年のような序盤の勢いはないが、持続性はあるような気がする。リーズ・イレブンの多くは、プレミアに比べれば能力的にいまひとつ。試合でのボールポセション率とシュート数 は圧倒的だが、ゴール数が少なすぎる。昇格するチームには20得点するフォワードが必要だが、リーズのFWバンフォードがうまくいかない。プレミアへの昇格は、このフォワード次第かもしれない。アーセナルからのローン加入選手の若いエンケティアが爆発してくれたらとは思うが、プレーを見ているとあと何年かかかりそうだ。プレミアに昇格して、ビエルサが監督を続けるところを見れたらと期待しながら、今年のリーズの動向を時間を追いかけているのだが、選手たちが厳格なビエルサについていけるかどうか、疲れてしまわないかどうか、そこも心配だ。求道者と付き合うのはどの世界でも大変だが、それを乗り越えさせてくれるのはおそらくサポーターだ。リーズには沸点を超えたようなサポーターが数多くいる。昇格は彼(彼女)たちの熱量を昨年以上に上げることだ。リーズからはるか離れた日本からも小さな熱を送り続けるつもりだ。

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