サッカーメディアについて1

 リーズがplay-offで敗退。今年に入ってからの不調を心配してたのだが、それが現実に。どうしてなんだろう?もちろんスカッドのレベルの問題があるのだろう。でも素人にはわからない。ビエルサ・ファンとしては、一度は歓喜の栄光を味わってほしいと思うばかりだ。チャンピオンシップの昇格3番目はアストンヴィラでお願いしたい。ともかく、ビエルサの来年度はまだ決まっていないとのこと。この1年あまり彼のおかげでチャンピオンシップのことを少し知ることができてよかった。ただ放送がないので(ブックメーカーを使えば見ることができるが、登録するとあまりにも多くの「お知らせ」来るだろうから鬱陶しいのでやめた)、リーズの公式サイトのハイライト動画しか観れてない。どこかチャンピオンシップを放送してくれないかなと思う。ベルギーやオランダ、トルコより面白いと思う。日本人選手中心の日本のメディアなので、仕方がないことだが。
さて、このブログも5回目。反応はゼロだが、それを大して期待しているわけではない。ぼくのフットボール思考を言葉にするための訓練の場なのだ、と見栄を切っておいて、今回はこのブログのテーマの一つ、日本のサッカーメディアについて。
その前にもう少し広げて、日本のスポーツメディアのことから。極端に言えば、日本にスポーツメディアはないと思っている。日本的スポーツメディアはある。独特なものだ。もし、サッカーがフットボールを目指すなら、メディアの体質も変えない限り、サッカー日本代表もW杯での活躍は近づいてこないだろう。
その典型は、スポーツ新聞と言われるメディア。誰でも分かっていることだろうが、正確には野球(競馬も入るかな)を中核に芸能ネタを加えた情報誌(少し前まではエロネタも柱のひとつだったが、さすがこれは数紙に残るだけ)である。サッカー担当記者もいるのだろうが、少し熱心なのは「ニッカン」と「報知」だけ。ただ、試合結果の情報は報道しているが、試合のしっかりした分析はほとんどなし。「本誌解説者」などの名を持つ、元選手やライターたちが軽くコメントするくらいだ。ぼくも喫茶店で読むが、海外のことは当然、日本選手中心。欧州でも自国選手報道はあるが、日本ほどのことはない(といってもフランスとイギリスの場合しか知らないが)。それも、基本は日本選手の動きを大袈裟にピックアップするばかり(メッシやロナウドもそうして紹介される)。メインの野球からしてそうだ。関西でのスポーツ紙は阪神スポーツ紙化している。担当記者とチームの癒着としか思えない記事も満載だ。応援団を標榜しているのだろうが、この構図は政界での議員と番記者の関係と似ている。ともかく批評精神が皆無だとぼくの目には映る。批評とは、現実を論理的に分析しながら、扱う問題に何らかの方向性を示すとこだと思っている。そうした批評があってこそ、チームも選手も成長していくのではないか。そのためには、記者の幅の広い見識が必要になってくるだろう。
大手新聞のスポーツ欄は、さすが(偉いというわけではない)スポーツ紙に比べれば、それなりの節度はある。といっても、「朝日」(日本代表のスポンサー)には文化臭さが、「読売」の中心は巨人なので基本的に無視(といっても「報知」はフットボール情報がそれなりに紹介されているで読んでいる)、「毎日」は都市対抗野球だけがスポーツニュースで、フットボールには力を入れてなさそう。「産経」はほんのたまにオーという記事がでる。ぼくの目から見て節度があるのは「日経」だ。経済新聞なのでスポーツ記事は芸能界的言説が薄くまともさがある。担当記者たちは、メインではないので自由にやっているのか?ただし、ページが限られているので細かくはないが。フットボールはグローバル経済の視点からも分析する価値はあると思うのに。グローバル化するフットボール界には、金融ビジネス勝利者たちが入り込んでいて複雑そうなので、ぜひ扱ってもらいたい。
また、サッカーだけでなく他のスポーツも日本人選手中心主義なのが、ぼくにはちょっと鬱陶しい。野球でも、チーム全体のことを知りたいと思っても、日本人選手だけにスポットを当てるので、大リーグ全体の動向がわからない。大リーグ全体を楽しめなくなる(それほど時間をかけていないが)。ぼくとしてはスポーツを見ていく場合、そのスポーツ界全体のことを知りたいのだ。そこで、例えば、日本のスター選手がどのくらいのレベルで見られているのかを知りたいということだ。
この日本中心主義はサッカーでは極端なところがある。本田がACミランの10番にふさわしいと考えたイタリア人は誰もいないのだ。今だって、日本選手がメルカートの上位のニュースになることは稀である。BBCsportのゴシップ欄に日本人選手の名前を見ることはきわめて少ないのが現実だ(出てほしい!)。情報を数多く持っているサッカーの評論家やライターだってそう思っていたはずだ。でも、そんなことはおそらく書けないのだ。
ライトなスポーツ好きは、どんな選手でも「すごい活躍』と書かれたら(例えば、ひとつゴールを決めたら)世界的選手と思ってしまうのではないか。でも、日本人のアスリートで、ワールドクラスな選手はそんなに多くはないと思っている。MLBの何人かの選手、その他、ゴルフでは一時期の松山(復活してくれないものか)、テニスは大坂と錦織(最近は限界が見えてきた)、あとはバトミントンとか卓球?、少し前の女子レスリングなどに入るが、フットボールに比べたら、基本的にはマイナーなスポーツである。そうしたスポーツをダメだと言っているわけではない。逆に、そのことを自覚しながら、情報を伝えていくことが重要なのではないか。前に書いたことだが、グローバルなこととレジオナル(地域的)なことは位相が違うのだ。日本では、そのメリハリがなく、すべてが「芸能界」風な情報仕立てで均一化されているように思う。日本社会全体が「芸能界的ポピュリズム」なので仕方がないといえば、そうなのだ。ただ、メディアの客観性の矜持を少しは見せてもらいたいものだ。
スポーツ紙に新聞となると、次は雑誌なのだが、もう何年も雑誌は買ってない。昔、Jリーグに熱があった頃、あるいは日本のW杯にワクワクしていた頃は、「サッカーダイジェスト」や「週刊サッカーマガジン」を買っていたが、山積みになった二つの雑誌は、退職するときに処分した。ネットの方が情報が多い、特に欧州のサイトを見るようになってから、そういう気がしている。「ナンバー」もサッカー関係の号は買っていたが、こちらも現在はやめた。好みの記事もあったのだが(特に欧州の選手のインタビューなど)、このところ、日本選手礼賛記事が多くなっているように思うし、加えて、選手の人情、人生ドラマのような調子が嫌になってきたのだ。NHKのドキュメンタリー「プロジェクトX」みたいな調子になってきたのがね。スポーツには、もちろんドラマはある。でも、苦労と栄光話(必要だが)だけでは、本当のところはわからない。記録しつつ、分析する。これがドキュメンタリーの基本ではないのか。
あとは、やっぱりテレビ。書き出すと長くなるので、次の機会にする。



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